【こんな症例も治りますシリーズ 479】 セキセイインコの卵塞症 も適切な診断と治療で治します

上の写真は、小鳥の卵塞(卵詰まり)のレントゲンです。
★ 下の方に卵が詰まっています。 卵型の陰影が分かりますか?

 

参照サイト:

https://bit.ly/3u8xp1e

 

鳥  セキセイインコ 4歳 メス

【 今朝からお腹が膨れて苦しそう 】とのことで来院されたセキセイインコさんです。

◆◆ 下腹部を触ってみると…  やはり、卵が有りそうです。 卵詰まり、卵塞症です。

 

 

■ お話を聞いてみると、最近、毎日多い時は5-7個ほど卵を産むそうです。

 

 

■ 触診で触れる卵は一つだけのようですが、こういった時に、上腹部にも小さな卵があったりすることもあるので、レントゲン検査は行った方がよいと思われます。

 

■ レントゲンを撮ってみると、やはり下腹部、砂嚢の辺りに卵があります。 どうやら卵は一つだけのようですが、かなり卵殻の陰影が薄いです。 また骨陰影がかなり菲薄化しています。 通常発情中の鳥の骨は、カルシウムの放散を起こし(卵殻に使用するため)文字を書くチョークや斑状の様に見えたりするのですが、カルシウムの蓄積が間に合っていないとスカスカになってしまいます。

 

■■ まずは卵をどうするか決めねばなりませんが、患者さんの状態が良い場合は、温め、酸素ボックスに入れて様子を見るのも一つです。 保温はとても大切でして、その治療をする事で自力で産卵する場合があります。

 

 

■ しかし体力が持たなそうな場合は、手で卵を押し出します。 滅多に無い事ですが、腹壁を破らないよう、慎重に行わなくてはならないですし、子宮と卵殻が癒着している場合もあります。

 

※ 癒着が激しい場合は、出血などが起こり血行不全のショック状態になってしまい、亡くなる事も配慮しなくてはなりません。

 

 

■ 卵周囲に特殊なゼリーを塗って、そーっとお腹を押していき、うまく卵が出せました。

 

 

■ やはり、かなり卵殻が薄いです。

 

 

 

■ 卵詰まりが治ると、すぐに元気になり、食事も良く食べてくれるようになりました。

 

 

 

 

 

◆◆◆ さて、ここからは飼い方を指導させて頂きます。

 

■ 小鳥を室内で飼う場合、卵を産ませないようにする事が必要です。

 

■ 『 卵を産むということは、ストレスがなく、安心出来る居場所がある 』という事なのですが、今回のように過剰産卵を起こしていると、小鳥さんの寿命が短くなります。

 

 

 

■ 卵を産ませないようにするポイントはいくつかあります。

 

1.  適度なストレス(刺激)を与える

鳥籠の中で、安心しきらせない、という事が必要です。 いつも同じ場所に鳥籠を置かず、毎日場所をずらす、これだけでだいぶ違ってくると思います。

 

 

2. 何に対して発情しているかを見極め、対象を取り上げる(遠ざける)

発情の対象は鳥籠の中のおもちゃだったり、鏡だったり、飼い主さまにだったりします。
その対象を取り上げることが必要です。
少しかわいそうに思いますが、飼主様との過度なスキンシップはNGです。

 

 

3. 光周期

光周期の延長、つまり明るい時間が長くなると、脳から発情に関するホルモンが分泌されます。 具体的には6-8時間ほど連続した明期があると、発情ホルモンが多く出るそうです。 それより明期を短い時間にする事が必要です。

夕方、4時か5時には暗幕を鳥籠にかけるのが良いでしょう。

 

 

■ 他には温度の管理や食事量の管理、といった方法がありますが、間違えると直ぐに体調の悪化に繋がってしまうため、私はお勧めしていません…。

 

 

 

■ 以上の管理を行っても、発情が続いてしまう鳥さんも中にはいます。

 

 

■ そういった場合、ホルモンを抑制させる薬、もしくは手術による卵巣の摘出、といった方法がありますが、どちらもリスクがあります。

 

 

■ ついつい可愛がってしまい、発情し、過剰産卵、そして卵詰まり。

 

■ よく起こることではあります。

 

 

■ なにかお困り事がありましたら、ご相談ください。

 

 

獣医師 増田正樹

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